RPGの仕組みという点では、『ウィッチャー3』は、過去シリーズ2作品と同様に、複雑で奥深いものになっています。また、大規模で広大なオープンワールドの設定により、その複雑さはさらに挑戦的なものになり、長い目で見れば満足度の高いものになっています。ウィッチャーの世界は、言葉では言い表せないほど、広大で開放的にできています。青々とした野原には、さまざまな種類の植物が揺れ動く一方、貧しく荒廃した街並みが広がり、人々は生活の糧を得るために努力しています。

完全な昼夜描写とダイナミックな雰囲気のおかげで、ウィッチャー3のエコシステムは、今まで見たオープンワールドの中でも、極めて本格的な感覚を味わえるものになっています。ミニマップが正しい方向に導いてくれますが、気休めのように見えて、これがなかったら完全に迷子になってしまうでしょう。ゲームプレイの目的意識が持てて、やるべきことが山積みだと感じられので、かなりの達成感があるといえます。

この最新オープンワールドのマップは、物語の構造にも影響を与えています。最高に楽しめるシーンももちろんありますが、メインストーリーはウィッチャー3で最も残念な要素となっています。例えるとしたら、エルダー・スクロールズ・シンドローム(The Elder Scrolls Syndrome)の新しいバージョンと言えるかもしれません。物語は、ゲラルトの長年の恋人であるイェニファーと、彼の養女であるシリが、複数の大陸を旅するところから始まります。

筆者が個人的に一番不満に思うのは、ある一定以上になると進まなくなるという点です。無駄に長いメインストーリーは、ゲラルトがシリの居場所を教えてもらうために、人々のお使いをするだけのものです。集中力と勢いを保つことはできますが、「ウィッチャー2:アサシン・オブ・キングズ」のように面白いパズルを解くというよりは、得られぬものを追い求めている感覚になってしまいます。

卓越したダイアローグと声優のおかげで、途中で感情移入することもありますが、無意味なフェッチクエストやコレクターズアクションという形式が邪魔しているように見えます。

何か面白い発見をしようと思っても、ヤギを護衛したり、行方不明のナルコレプシーの小人を探したりするために、急に中断しなければならないのです。時折、ゲラルトでさえ、延々と続く下働きのオンパレードに苛立ちを隠せないことがあります。

また、過去シリーズ2作品をプレイしていなくてもなんとかなるとはいえ、旅の最後の4分の1までは、シリは多かれ少なかれ全くの中心人物ではないので、ウィッチャー3が望んでいたほどには、シリを探すことに集中することはありませんでした。特に、脇役に追いやられた興味深いキャラクターたちの数々を考えると、なおさらそうなります。でも、ありがたいことに、人里離れた場所に行くと、それぞれが活躍する機会があり、これがウィッチャー3の優れた点でしょう。

シンプルでフェッチクエストの多いメインストーリーはあまり評価できませんが、緑豊かで広大なオープンワールドで冒険するシーンは十分楽しめました。このように、ウィッチャー3は、ストーリーが特に面白くなくても、登場する数多くのキャラクター、優れたアクション、RPGゲームプレイによって、他のRPGではほぼ到達できないハイレベルなクオリティとなっています。